「金刀比羅宮 書院の美」展

東京芸術大学美術館で開催している
「金刀比羅宮 書院の美」展を観に上野ゆきました。
知らなかったのですが、行ってみると同時開催で
宇田川広重の「名所江戸百景のすべて」もやっていました。

まずは「金毘羅宮 書院の美」展ルポ

今回は金刀比羅宮の表書院、奥書院を飾る襖絵130面、10室
を再現した展示でした。
ポスターにもなっている応挙の「遊虎図」、
「遊」の字が冠してあるだけあって、威厳とか強さよりむしろ、
大きな猫とでも言いたい虎は愛嬌に溢れているのでした。


(応挙「遊虎図」の虎)

楽しみにしていたのは若冲の「花丸図」です。
植物に与えられた個性、色彩の美、本物の品格を堪能しました。

行ってみて分かったのですが、今回の展示、実は全体の半分
くらいがキャノンの高性能プリンターで印刷されたレプリカ
でした。若冲も例外ではありません。
いかに技術が進歩しても所詮レプリカはレプリカでしかない。
本物と並んだことで返ってそれが際立ってました。

金比羅参りにまつわるエピソードや品々も展示されてました。
江戸時代の人々にとって「金比羅参り」がいかに「憧れ」で
あったかということを知りました。

中でもお気に入りのエピソードを一つ。
「一生に一度は」とどんなに思っても、金比羅参りが叶わぬ
人々は、飼い犬を自らの代理として金比羅参りに旅立たせたの
だそうです。
首にしっかりと巾着を巻き、中には飼い主の名前と住所。
お札とお賽銭のお金、手紙をいれて、飼い主は金比羅方面に
むかう旅人に犬を託したのだそうです。旅人を終えた旅人は
ちゃんと次の金比羅方面の人に犬を託し、と人から人へ託され
やがて犬は無事金比羅さんに到着し、新しいお札をもらい、
それをしっかり首に巻き付けてもらいまた旅人に託されて帰途
につき一人でちゃんとお勤めを果たし戻って来たのだそうです。

こうした犬は「こんぴら狗(いぬ)」と呼ばれ人々に手厚く
扱われたのだとか。
江戸時代の人々の人情が伝わってくるような何とも微笑ましい
お話です。
オフィシャル?こんぴら狗のグッズがなんとも愛らしかった
です。


(愛らしい「こんぴら狗」陶器の置き物)