スーパーエッシャー展

Bunkamuraでやっている「スーパーエッシャー展」に行ってきました。
最も行っては行けないと思われる週末土曜日に行きましたが、案の定
非常にこんでおりました。
在庫があるか不安だった音声ガイドは豊富にあり、しかも無料と言う
太っぱらぶり。機種は今流行のニンテンドーDS。

という訳で解説付きでエッシャーワールドたっぷり堪能しました。
それというのも、非常な混雑故、全く進まないので、必然的に一つの
絵の前に3分〜5分くらいいることになり、時には絵と絵の間の壁なんか
もじっくりながめ、これを前向きにとらえれば、エッシャーの彫り
さばき、ビュランさばきを気兼ねする事なく細部にわたるまで
観察できたということになりましょうか。

人でいっぱい→進みが滞る→驚異的倒錯ワールドの緻密な絵→
じっくり鑑賞(ときどき音声ガイド)→人が溢れ代える→
進みが滞る→驚異的倒錯ワールドの緻密な絵・・・
会場はエッシャー的無限地獄が展開されさながらパフォーマンスの一部
のようでした。

初期の、風景画などは普通の風景画ですが、それ故にエッシャーの画力
のすごさがつたわってきました。どうもエッシャーは南イタリアの風景を
心から愛していたようで、それ以外の、自国オランダを含むヨーロッパの
町並み風景には味気ないものしか感じる事ができず、ファシズムが台頭して
以来、イタリアに行く事が叶わなくなってより、自身の心象風景を描く
ようになっていったそうです。
言われてみれば、エッシャーが描く階段がいっぱいあるまるで崖っぷちの
海辺にたっている四角い箱を積み重ねた様な、不可思議な家々は南イタリア
の海辺によくある風景を思わせます。

一つの画面に飛ぶ昼の世界の鳥と夜の世界の鳥、平面の中に無限にはめこま
れた魚と鳥、4次元にも5次元にもなってる家。上から落ちる滝が落ちる先は
滝の最上部。一つの階段を永遠に上り続ける人々と降り続ける人々が回歩
している絵。その不可思議な世界は渋滞や混雑が起きても致し方ないと
納得の、吸い込まれる倒錯世界です。コンピューターがない時代にこれほどの
立方体や平面を無限に組み合わせられた彼は数学的天才だったに違いありません。
エッシャーがこの世界を描いた当時も美術的注目よりも数学や心理学者達が
彼の描く世界に多大な感心を寄せていたそうです。

私が大好きなヒロエニムス・ボッシュの作品をリトグラフに起こした作品
もあり、ちょっと感動しました。エッシャーはこの中の女性のモチーフ
が気に入っており、自身の作品の中にもその後何度か登場させてました。

エッシャーは数多くの生物をモチーフとして描いていますが、自身の
数学的理論に基づいた新種の生物も創造して作品に登場させてます。
48語もの長い学名を持つトカゲの様な体を持ち人間の足が6本ついた
つぶらな瞳を持つ生物はオランダ語のニュアンスをそのまま訳すと
「でんぐりでんぐり」という名前だそうで、エッシャーの作品の中では
階段部分は6本の足を駆使して上り下り、平地ではアルマジロのように
まるくなりキャタピラのようにグルグル回って進んでいます。
とてもキュートで私は一目惚れしてしまいました。


よくできたフィギア「でんぐりでんぐり」


平地を歩く時はこのように丸くなります。

一つおもしろい試みの部屋がありました。
エッシャーの無限ワールドを画像として3Gのように映し出している
その部屋では、4つの画面があり、うち3つは直接画面に手をふれると
指の方向どおりにエッシャー生物が動きます。矛盾のない無限世界は
CG処理しても完璧に再現できているのでした。残る1画面は「深み」
という作品を画像に起こしたものです。トビウオが前後左右上下に
直線に規則的に並んだ絵ですが、カメラがあらゆる方向からその絵を
眺めるような視点で映像ができていて、三面鏡を覗き込んだ時の様
なワクワクする不思議な無限が矛盾なく映し出されていました。

混雑も手伝ってミュージアムを出た時には2時間もたっていました。
出てからの重要なお楽しみが一つ。
300円でエッシャーフィギアが買えるガチャガチャの販売機が
設置されているのです。「ガチャガチャ」というときめきプレミアム
付きで面白フィギアがゲットできるのですから購入必至です。
そして出て来たのは一番欲しかった「でんぐりでんぐり」!
う・・嬉しい!おみくじで大吉にあたったような気分です。

エッシャー好きならぜひトライしてみてください。

上海水族館と昆虫館

上海ルポ続編です

今回の上海旅行の目的の一つは博物館、美術館、ギャラリー巡り
です。というわけでキラキラ電車に乗って行った浦東エリアでは、
上海海洋水族館、上海大自然野生昆虫館に行きました。

まず上海海洋水族館へ。アジアで「最大級」というこの水族館、「最大」ではないのか?という疑問は残りますが、なかなか見応えありました。
世界を8ゾーンにわけての展示、火山の爆発音や、ジャングルの野鳥の声などBGMにも趣向をこらしてます。あまりの噴火音に魚が心労しないかやや心配になりました。155メートルものトンネル水槽もあり、巨大ザメや、3メートルもあるアマゾンの怪魚ピラルクが頭上を泳いだりして迫力満天でした。

印象に残ったシーンとして、
*鴨とワニが同じ水槽にいた。
 ←これは何を意味してるんでしょうか。
*上海のアザラシも水中立ちしていた。
 ←日本の動物だけたってる訳じゃないらしい。
*広いペンギン館の水槽のペンギンが5羽くらいしかいなかった。
 ←横のテレビビジョンには世話係のおじさんに餌を貰う数十種類 のペンギンちゃんの姿が。
 気になります。あとのペンギンどこにいったんでしょうか・・・

お次は、上海大自然野生昆虫館です。
ここはなんというか・・・レトロというか退廃的ムードのただよう場所でありました。ちょっと見世物小屋感がなくもなく・・・。みている側に微妙な後ろめたささえ感じさせました。なにかゲージやガラスケースがややせますぎるのです。

昆虫は生きてるものだけでなく標本もたくさんありました。
美しい世界の蝶などかなり数があり見応えあります。おしむらくは、経費節減なのか、すいてるからつけてないのか、照明が所々しかついてなくて、暗すぎてちょっと見づらい状態だったこと。
これら貴重な蝶や、タランチュラなどわりとお手頃価格で売ってますが、もちろん買って帰ったらワシントン条約に違反、成田で没収、なので眺めるだけです。お土産用に標本を額装などもしてましたが、どうもその額装が思いっきり裏目にでてるようでした。コバルト色の美しいアマゾンの蝶。なぜかハート形に切り抜かれたピンク色の紙の中央に鎮座し、さらにハートマークの装飾品が飾られてます。うーんこのセンス・・・微妙です。
見終わっての感想は「大自然野生昆虫館」、少々名前負けしてる感
否めないな。という所でしょうか。でもちゃんとヤギもフクロウもいましたよ。隣同士だったけど。世界最小のピグミー猿もかわいかったです。ヘビのコーナにいたけれど。

平日はどちらもスキスキでゆったり見られます。八景島シーパラダイス(行った事はありません)でぎゅーぎゅー詰めでみるならば上海水族館オススメです。
気分はムーミン谷のヘムレンさんなら無数の蝶の標本がある大自然野生昆虫館も必見でしょう。


写真1は上海のアザラシも水中立ちしていた!の図


写真2は大迫力頭上をいく巨大ザメ!の図


写真3はカメムシの顔はチャップリン?ユーモアのある展示の図

ちょっとお知らせ

昨日発売のHanakoのイラストの仕事をしました。
占い特集号で私は「アイルランドの数秘術占い」(P44〜57)
のところのイラスト描いてます。
もし機会があったら見てみてくださいね。

それから今出ている「版画芸術」134号の112ページに
私が通っている工房「ザボハウス」の紹介がでてます。
原宿という好立地。プロの作家や、イラストレーターや
趣味として来ている方、皆、仲良く楽しく(笑)気概を持って
制作している工房です。
こちらも機会があったら見てみてください。
私の作品も小さいながら載ってます。