DUSAN KALLAY


<ALICE IN WONDERLAND>

たくさんの絵を観たり音楽を聴いたり本に触れる事は
元来私にとって、とても好きな事だけれど、時にそれらは
突然、突出して、私の感受性を刺激したりするのです。
そして思いがけない「化学反応」が頭の中をぐるぐると
巡り始めるわけです。

そんな時はただじっと、しばらくその絵の前で立ち止まり絵の
向こう側の世界で妄想にふけったり、その本を読むふりをして
頭の中でぐるぐると空想にふけったり、その音楽を聴きつつも、
違う景色を頭の中で描いたり・・・。

最近もスペシャルなアーティストが描いた本に出会いました。
DUSAN KALLAY(ドゥシャン・カーライ)が
描いたLEWIS CARROLLの「ALICE IN WONDERLAND」
そして「HANS CHRISTIAN ANDERSEN 」(アンデルセン)
がそれです。特に「アリス」。彼の描くアリスの世界は
規定概念に全く無理なくとらわれておらず、完璧に独創的
なのです。その溢れるイメージの海に圧倒されました。


<from ALICE>


<ANDERSEN>

もともと大好きな作家ではあったし彼の日本語版の絵本も
一冊もっていたので何となく他の本も・・と検索してその
存在を知り、一目見てその創造の世界に心を奪われました。

感受性を刺激してくれる存在との出会いはかけがいがない。
それはいつも私の背中を新しい領域へと押してくれるのです。

長屋魂

今週は住居マンションで工事のため二日間、二度も大規模停電が
ありました。
昨日も朝も結構早い9時半からから全館停電に。
こうなると人間いかに電気漬けの生活してるか痛感します。
テレビもパソコンも、フレッツ光の電話もオーディオ機器も
果てはとトイレの電器(窓がないんでうちは)まで。
でかけたいならドライヤーだってそれまでにすませなければ
なりません。でかけたいんです。
2日のうち1日は朝からどんよりと曇りでした。
こうなるともう真っ暗で家の中でできる事などありません。
追い立てられるように家をでて、カフェで版画の下絵を仕上げました。
電気を大切にね。

工房の友人の松本里美さんの個展が今週月曜から
銀座の伊東屋8階ミニギャラリーにて始まりました。

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<松本さんのDMです>

GINZA ITO-YA 8Fミニギャラリー
中央区銀座2-7-15
TEL 03-3561-8311
http://www.ito-ya.co.jp/
10:30am-8:00pm水〜土
10:30am-7:00pm月火日

この個展は、ミュージシャンでもある彼女の初ソロCD+初版画集
発売に先駆けて開催した個展で、ギャラリーにて先行発売で本を
買うことができます。
本の中には蔵書表のごとく松本さんが9パターン刷り分けた版画の
うちの一枚が入っていて、どれが当たるかは開けてみてのお楽しみと
なってます。こういのって子供の頃の駄菓子屋さんのクジにもにた
不思議なときめきがあってなんか買う楽しさがグンと増すものです。
9枚の作品は一枚の和紙のシートに刷られて会場の飾ってあるので
購入される方はまずそれをじーっと見てから買ってみて下さい。
ちなみに私は気に入っていたカエルが当たって嬉しかったです!

会場の絵ももちろん版画集からの抜粋になってます。新作の
ジェリーシリーズも加わってどんどん進化してる松本ワールドが
堪能できるはずです。

個展に先駆けて松本さんはちょっと色々と大変な事があったのですが、
無事、立派な個展を開く事ができて、友人としても本当によかったと
思ってます。
今回彼女の身に起きた大変な事を聞きつけた工房の友人達は次々に、
「私に何かできる事があったらと」声をあげたのでした。
松本さん本人はきっとそれどころではないし、気を遣ってしまう
だろうからと私の方にも何人かの友人が「何かある?」と呼びかけて
来てくれました。
私自身ここ2年程色々な事があって、工房の友人達には本当に助けて
もらってきました。人間一人じゃ生きられないと痛感したのでした。
慮ってくれる心が近くにあるというだけで、全然違うものです。
工房には江戸庶民、長屋魂が息づいていると実感する今日のこごろです。

徳川家の前でひれ伏す

この週末は上野の東京国立博物館で開催されている「大徳川展」
http://www.daitokugawa.com/
に行ってきました。


<秋の上野の森>

それに先立って、期間限定で国立博物館敷地内の庭園が開放
されているというので是非にと思い立ち寄りました。
入るやいなや、アスファルトの道の横に私が世界一苦手
としているゼニゴケがみっしりとはびこっているのが視界に・・・
完全にぞーっとなりました。
その後もこの庭の「順路」には随所にゼニゴケが・・・
ゼニゴケの庭と書いていてくれれば絶対に近づかなかったのに。
土の上に飛び石のみという難所もあり「癒されるたい」と思って
いた私の気持ちは完全に裏切られ、鳥肌ものの非癒し空間が展開
されたのでした。
ですがこの期間限定の庭。ゼニゴケ問題をさっ引いてもかなり手抜き感
いなめませんでした。年に二回のみの期間限定公開だそうですが。
どの館も固く扉を閉ざし、縁側に廃材?とおぼしきコンクリートなどが
置かれている始末。中心の池の蓮の葉も枯れていました。
とにかく見所感がないんです。まぁそれがやつらのはびこりを
許したのでしょう・・・。
前を歩く外国人観光客の老夫婦も足早に歩みを進めていました。
「順路」の最後に最難関「土の道」が・・人が歩くど真ん中は
さすがにやつら生えてませんでしたが、十数センチ横にはいます。
私がここを欽ちゃんばしりでかけぬけたのはいうまでもありません。


そして徳川家。だてに300年鎖国してたわけではなかった。
ビバ鎖国。まさに一人大英博物館状態でした。
徳川家ゆかりのお宝の質量共に圧倒されました。
思わず自分が徳川家に生まれていたら・・・
などという妄想までいだいてしまいました。
会場は相当の混雑ぶりでした。

銘刀正宗に始まる名刀の数々、家康初め名だたる武将ゆかりの
鎧兜、狩野探幽ほか狩野一門の筆による絵巻や屏風絵。
千代姫ほか姫君達お輿入れの際の艶やかな着物や漆器
などの品々・・・
それはまるで人のうちの蔵をのぞきこむようなもの。興味ある
品もあれば全く関心がないものも・・・
私が絵画系のもを沢山みられると思って期待を裏切られたと同様に、
人々の目当てはそれぞれに別れていたようでした。
刀の前には刀フェチ。鎧の前には鎧フェチ。それぞれが分業して
黒山の人だかりをつくっていたと思われます。
着物姿のおばさまがたが「もっと沢山着物がみられるかと思った
のに・・」と残念そうにつぶやいていたのが印象的でした。
みな小さな期待はずれを胸にいだきつつも、徳川の力の偉大さを
思い知る展覧会、まさに「大徳川展」だったのではないでしょうか。